2012年03月21日

詩朗さんのこと

 俳句の先輩詩朗さんが亡くなった。詩朗さんは前職の職場のときから随分お世話になった。奥様が同窓ということもあり、息子の結婚まで心配してくださったし、拙書の出版パーティーのときには、受付に座ってくださった。多くの俳句のお仲間に拙書の宣伝までもしてくださった。
 癌が発見されてから一年。あっという間のことだった。心からご冥福をお祈りいたします。

 手術後の去年の秋のことだと思う。句会からの帰り、有楽町線の中で詩朗さんは「群馬のおっきりこみを食べてみたいなぁ。どこで売っているのだろう。」と聞いてきた。
 
 「お切り込み」とは群馬の郷土料理のことで、地域によって入れる具材や味付けが微妙に違う。特にうどんは、太いということが、共通であり、丸いものから平べったいものまである。基本は醤油味だが、地域によってはみそ味のものまである。要は、うどんの煮込みのことなのだ。だから、それを商品化して売っているなどとは、あまり聞いたことがなかった。一度だけ、群馬の友人から、太田市の料亭で、この「おっきりこみ」を商品化したものをいただいたことを思い出したが、それを詩朗さんに告げることなく、地下鉄を降りてしまった。たぶんそれが詩朗さんにお会いした最後の時だと思う。

 詩朗さんが再入院されたと聞いた今年初めの句会。詩朗さんは、投句したすべての句に高得点がついた。感性が冴え過ぎているというか・・・病院のベッドで何回も推敲したのだろう。すごいなぁ・・・。
 と同時に、何か漠然としたいやな予感がした。詩朗さんを駆り立てているものは何だろう。・・・・・
 
 そして「お切り込み」のことを思い出した。すぐに太田市の店に手配し詩朗さんに送った。3センチもあるひらたい麺、醤油味のスープ、作り方のレシピまで付いているものだ。
 奥様はすぐそれを作ってくださったようだ。「病院に行くと、何も箸をつけていない昼食のプレートがありました。でも作った「お切り込み」を持っていくと、一人前ぺろっと食べてくれたのです。そして元気になりました。それを見た先生は、『しばらく家に帰ってみるか』って退院の許可を出してくれたのです」との嬉しいご返事をいただいた。

 それから約2ヵ月。入退院をい繰り返されていた詩朗さんはあっけなく旅立たれてしまった。
 告別式で奥様は「詩朗は、手術後何か生き急いでいるような感じでした。なにでも貪欲に行動しようとしていたような気がします・・・」とご挨拶された。
 
 悲しかった。詩朗さん。詩朗さんは奥様がいないと何もできないと言っていらっしゃいました。
食べながらご飯をぽろぽろとこぼすし、時々セーターも裏返しに着ていました。ぎっしりと書かれた俳句の手帳は、書いたご自身が読めない・・というような風でした。でもそのやさしさ、無邪気さ、正直さが、百子は大好きでした。(先輩なのにこんな表現は失礼なのですが・・・)
 
 ご冥福を心からお祈りいたします。








 
   
posted by 百子 at 13:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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